くまのお母さんの物語

一人息子を亡くした、くまのお母さんの物語(ナラティブ)です。

くまのお父さん

今年も坊やの大学の先輩がお墓参りに来てくれました。

去年もだったと思うけれど、坊やの祥月命日あたりにくまのお父さんがお墓参りに来ているのです。

坊やの先輩とお墓に行くと、今年もくまのお父さんが来た形跡がありました。

坊やはくまのお父さんが好きな音楽をよく聴いていたので、くまのお父さんはCDジャケットのコピーをお墓に供えていくのです。

濡れないように袋に入れて日付だけ書き込んでいます。

去年は坊やの先輩がお墓参りに来てくれたのが少し遅かったので、くまのお父さんのお墓参りはしばらくわかりませんでしたが、今年は坊やのお父さんが来た日と一緒でした。

これは…

危うくお墓で鉢合わせするところだったのですね。

坊やの先輩は坊やがくまのお父さんと関係が悪いことを知っていたので、「あのお父さん」というイメージでした。

くまのお母さんが坊やの先輩を駅に迎えに行く時、遅くなったり駐車場が満車で時間がかかったりしていました。

もしかしたら坊やの先輩とくまのお父さんは同じ新幹線に乗っていたかもしれません。

お墓で会うより駅で会う可能性もあったわけで。

坊やがくまのお父さんと会わないようにしてくれたかなと思うことにしようかな。

坊やの先輩は束にしたお線香をお墓に供えましたが

「大盛ラーメンを食えなかったから線香も多かったかな。」

と言いましたので、面白いなとくまのお母さんは思いました。

坊やの思い出の輪郭は薄れていくのかもしれませんが、忘れないでいてくれることがありがたいです。

 

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