くまのお母さんの物語

一人息子を亡くした、くまのお母さんの物語(ナラティブ)です。

1年前

1年前。

くまのおじいちゃんが手術をすることになり、くまのお母さんは準備をしたり病院へ行ったりいろいろ心配をしたりしていました。

 

坊やは就職が決まらずにいました。

仲のよい友だちや同級生は大手企業への就職を決めている子が多くて、坊やは焦ったりつらかったりしていたと思います。

くまのお母さんも遠い田舎から坊やの応援をしたり、就活中の子どもを持つ親のサイトで専門家に相談したりしていました。

 

坊やは大学のキャリアセンターではなく、都会のハローワークで相談をしていました。

くまのお母さんが「新卒応援ハローワーク」に行ってみたらどうかと坊やに提案したのでした。

みんなが就職決めた中で大学のキャリアセンターへは行きづらかったのかもしれません。

都心のハローワークはきれいなビルの中にあり、坊やにとっては通うモチベーションを下げずに済んだと思います。

 

そして、やっと就職が決まったのでした。

坊やが希望していた業種の大手企業です。

やりたい仕事ができることになったのです。

 

正社員ではありませんでした。

でも5年働けば正社員登用の道があるとのことでした。

正直、くまのお母さんは坊やはみんなと同じように早く就職が決まるものだと思っていました。

社長面接でダメだったり、あと一息ということが多かったのですが、不採用は不採用です。

やはりウイークポイントは自信のなさだったのかもしれません。

坊やはくまのお母さんの身びいきを差し引いても優秀な子でした。

どうして坊やの能力を生かすことが出来ないのだろうとやきもきしていました。

くまのお母さんですら、その昔、新卒で公務員試験に合格して働いていたのに、くまのお母さんよりはるかに優秀な坊やがどうして就活がうまくいかないのでしょう。

くまのお母さんは不思議でなりませんでした。

昔と今は違うと頭では理解していてもです。

 

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