くまのお母さんの物語

一人息子を亡くした、くまのお母さんの物語(ナラティブ)です。

坊やの誕生日

くまのおじいちゃんが病気で入院していましたので、くまのお母さんは忙しかったのです。

と言っても、くまのおばあちゃんが認知症っぽいのがくまのおじいちゃんの入院後、輪をかけて大変なので、くまのおばあちゃんの見守りで疲れていたくまのお母さんです。

くまのおばあちゃんは病院に行けば認知症って言われそうなのですが、特に大きな問題がなく生活できているので、このままいけばいいなとくまのお母さんは考えます。

くまのおじいちゃんは認知症はありません。

先月、退院してきて、日常生活が送れるようになってます。

くまのおじいちゃんが言いました。

「もうすぐ坊やの誕生日だなぁ。」

坊やが亡くなってから、今まで坊やの誕生日のことをくまのおじいちゃん自ら話したことがあったかなとくまのお母さんは思います。

くまのおじいちゃんの誕生日は、坊やの誕生日の1週間後ですから、坊やの誕生日を覚えているのですが。

(くまのおばあちゃんは坊やの誕生日は忘れています。くまのお母さんの誕生日も忘れています。)

いつも坊やの誕生日にケーキを買ってきていたと思うのですが、今年もくまのお母さんはケーキを買ってきてお供えしました。

 

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坊やが生まれて、くまのお母さんがまだ入院していた頃は、あたり一面銀世界でした。

この冬は雪がほとんど積もってません。

いい天気。

吹く風は肌に冷たいけれど。

もう坊やの歳を数えようという気にもならなくなった、くまのお母さんです。

 

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時が過ぎる

坊やのスマホは何故かロックがかかってなくて、パスコード入れなくても見ることができました。

メールもSNSも見ることができましたが、メールはWebメールだったので、しばらくするとログインしないとメールの受信ができなくなってしまいました。

まぁ、メールはダイレクトメールみたいなのばかりだったのであまり気にしませんでしたが。

先日、坊やのスマホのLINEが使えなくなってしまいました。

坊やの携帯電話は亡くなって1か月くらいで解約したんです。

だから坊やが使っていた電話番号を今、誰かが使っていて、その人がLINEアカウントを作って、坊やのLINEの履歴を消す必要があったのでしょう。

LINEの履歴が消えてしまったのは、くまのお母さんにはショックでした。

仕方ないって言えば仕方ないですが。

坊やの生きていた証がなくなったということですから。

もちろん、くまのお母さんは坊やのLINEアカウントで誰かとやりとりするわけではありません。

もう3年も過ぎてしまったなぁという思いです。

 

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末永く生きる

孤独も絶望も憎しみも、消えてなくなることはなくとも、生きて生きて生き続ければ、きっと息子に再会できる。

くまのお母さんもそう思って、今日を生き続けます。

 

 

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18年前

なぜか2000年のカレンダーを見つけました。

くまのお母さんとくまのお父さんと坊やと3人で暮らしていた頃です。

坊やは小学1年生でした。

雑誌の付録の書き込み式カレンダーで、きっとキッチンで使ってたものです。

家族の予定がポツポツと書いてあります。

6月15日のところに坊やのたどたどしい文字が書かれていました。

初めは何て書いてあるか、くまのお母さんにはわかりませんでしたが、今また見てみると

「おじぎそう めがでる」

と読めました。

おじぎそうとか育てていたっけ?

完全に記憶にありません。

でも坊やが書きたかったんだな。

坊やが生きていた記録です。

くまのお母さんは坊やの歳を数えることは滅多にありませんが、坊やは24歳になります。

24歳の坊や。

何をしているのでしょうか。

坊やの同級生たちは、働いたり、再び大学生になったり、結婚したり、子どもができたり。

すべて坊やの人生にはなかったことです。

坊やのいない人生を生きているくまのお母さんは、また寂しいクリスマスを迎えます。

 

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無題

自死は選択ではない。

 

(500)日のサマー

くまのお母さんが車を運転していたとき、ラジオから

(500)日のサマー」というフレーズが聞こえました。

坊やが亡くなる直前に見た映画(DVD?)だったのです。

あらすじを読むと、主人公のトムがなんだか坊やによく似ていて切なくなるのです。

いつか見てみたいな。

坊やの大学の先輩が今年もお墓参りに来てくれました。

坊やと行ったレストランやカフェに一緒に行き、坊やの思い出話とか、坊やの先輩の仕事の話とかします。

そして坊やの先輩のお母さんは、くまのお母さんと同業だということを知って、色々と腑に落ちました。

くまのおじいちゃんは、また入院しました。

次から次へいろいろと病気になりますが、元気です。

でもくまのお母さんは疲れます。

 

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