貧困家庭の子どもは、無理をして大学進学するとかえって大変な思いをすることもあるのかなと、ふとくまのお母さんは思ったのです。
雑に「貧困家庭」と書きましたが、経済的余裕がない家庭です。
それでも大学を卒業して安定して収入を得られるような生活を送れたらそれでいいのですが、いわゆる「いい仕事」に就けず、非正規で奨学金返済に苦労するとか。
それは本末転倒といいますか…
自分が就職した頃と同じような発想で就活を考えていた、くまのお母さんの負けかなと思いました。
だって、くまのお母さんなど逆立ちしても入れないような大学に入学して、成績も給付型の奨学金をもらえるくらいには良くて、留年もしなくて。
こんなくまのお母さんでさえ、新卒で公務員になったのだから、ずっと優秀な坊やは「いい仕事」に就けるのは、普通のことなのではないのの
そう思っていました。
ところが。
坊やは就活がうまくいきませんでした。
社長面接まで行った会社も不採用でした。
坊やは日本学生支援機構の奨学金を借りていましたが、大学3年のときやめました。
返済の負担を減らしたかったからです。
その分、アルバイトをすると言いました。
それまでほとんどバイトはしていなかったのです。
そしてアルバイト先も坊やの自己肯定感を高めてくれるような会社で、坊やはがんばって働いていたようです。
坊やは自分が大学の同級生や先輩たちと似たような家庭環境で育ちたかったみたいです。
くまのお母さんは、逆境を乗り越えていく力を身につけられるようにという思いで離婚後は子育てしてきたつもりですが、HSPの坊やには難しかったのかもしれません。
ふと、坊やが亡くなって1か月も経たないうちに自死した電通の東大卒の女性もひとり親家庭で育ったのですが、彼女も東大に進学しなければ別の人生があったのかなと思ったりします。