くまのお母さんの物語

一人息子を亡くした、くまのお母さんの物語(ナラティブ)です。

全力で生きる

くまのお母さんは坊やを3歳まで抱っこで育てました。

どちらかといえば育てにくい子でした。

歩けるようになっても一人でどこかへ行ってしまうということは、絶対にありませんでした。

いつもくまのお母さんにくっついていました。

坊やにとって、この世は安心できるものではなかったのでしょうか。

くまのお母さんにとって、この世が安心できるかといえば決してそうではないのですけれども。

坊やは発達障害ではありませんでしたが、デリケートなタイプでした。

(幼児期に発達障害について専門医に相談していました。)

抱っこを要求する坊やをくまのお母さんは肩がこるから大変だと思いつつ、

「今、がんばって抱っこしていたら、坊やが大きくなったらきっと楽になる。」

と信じて乗り越えてきました。

坊やが大きくなって、子育てが楽になったかというと、抱っこばかりしていた頃の大変さはなくなって楽になりました。

デリケートな部分は変わりなく、幼稚園や学校も楽しいことばかりではなかったです。

塾にはほとんど行ったことがなかったけれど、勉強はよくできました。

大学も第1希望の都会の国立大学に現役合格できました。

そんな坊やを見て、くまのお母さんは自分のコンプレックスが解消されたように思いました。

いや、自分の夢を子どもに叶えさせるように仕向けたつもりはありません。

坊やが好きなことをしてほしいと思っていました。

そのためにくまのお母さんができることはがんばりました。

環境を整えることです。

基本的な生活習慣を身につけるとか、ご飯をちゃんと食べさせるとか、知的好奇心はできるだけ満たすとか。

それって、将来に備えた行動だったのかもしれません。

今を生きるというのとは違っていたでしょうか。

「将来のことを考えると今が楽しい」という認識はなかったです。

今を楽しむことを知らなかった。

だから坊やも今を楽しむことがわからなかったかもしれません。

ameblo.jp

 

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