22年前の早朝、くまのお母さんは坊やの泣き声で目が覚めました。
いつも泣かない坊やがどうしたんだろうと思った途端に、地震がきました。
くまのお母さんが当時住んでいたところは震度4くらいでしたが、大きな被害はありませんでした。
起きてから朝のバタバタの後にテレビをつけてくまのお母さんは呆然としました。
画面には戦後の焼け野原のような光景が映っていたからです。
ヨチヨチ歩きもまだできなかった坊やを傍らに放っておいて、何時間も呆然とテレビを見続けていました。
あの時、坊やは地震が来ることを教えてくれたのかしらと思いました。
そして6年前にくまのお母さんが住む町からいくつか山を越えたところに大きな津波がきて、たくさんの人が亡くなりました。
そんな経験をしてきて、命は大切にと身をもって分かったつもりになっていたかもしれません。
頭では分かっていても生きたくても生きたくても生きづらかった。
自死した人が命を粗末にしていると思う人がいるならば、自死遺族になってみてほしいと思います。
本当は生きたかったという思いを抱えていたことに思いを致してほしいです。