坊やは、なりたい自分と現実の自分にギャップを感じてそれを受け入れることが出来なかったのかなぁと、くまのお母さんは思っています。
くまのお母さんだって、今の自分の姿を想像することが出来ませんでした。
でも、くまのお母さんはどんな大人になりたかったんだろう?
坊やはよく泣く赤ちゃんでした。
くまのお母さんはいつもいつも坊やをだっこしていました。
そうしていれば、きっといつか楽になるに違いないと信じていました。
坊やは3歳になったら、くまのお母さんにだっこされなくても手をつないで歩いてくれるようになりました。
くまのお母さんはくまのお父さんにいじめられて暮らして来たのですが、坊やを連れて逃げたことは正解だったと思っています。
くまのお母さんも坊やもそれで救われたと思います。
それ以上のことはくまのお母さんのキャパシティではできなかったことです。
坊やもがんばって生きてきました。
くまのお母さんもがんばって生きてきました。
いじめないお父さんと自ら命を絶たない坊やと一緒に、少し先の未来を楽しみにしながら毎日の暮らしを重ねていきたかったのです。
そんなことは叶いませんでした。
“みんながなりたかった大人になれるわけじゃない”
是枝監督の言葉が心にしみます。
坊やに伝えたいです。
なりたかった大人になれなくても生きていけるよって。