くまのお母さんの物語

一人息子を亡くした、くまのお母さんの物語(ナラティブ)です。

きりん夫妻のこと

 くまのお母さんの会社には、共働きのきりん夫妻がいました。

ご夫妻とも優秀で、いつも重要な仕事をしていて、また充実した日々を過ごしていたと思います。

 

くまのお母さんが忌引の休暇が済んで、ますます重くなった身体を引きずるようにして会社に出勤した日、会社のイントラネットのお悔やみページを見て、びっくりしました。

 

「きりんの旦那さん、亡くなったんだ…!!」

突然の訃報を聞くと、どうして?って思うし聞きたいし。

くまのお母さんが、みんなに坊やが亡くなったことを知らせたときも、

「どうして?」

と反応した人はたくさんいました。

でもね、言えないんです。

そして、勘のいい方は、きっと何かを察すると思うのです。

 

きりんの旦那さんは先週まで会社に出てきていたのに。

誰かに聞きたいけど、たぶん、くまのお母さんが察する理由なんじゃないかしらと思ってみます。

きりんの旦那さんは、夏にお腹が痛いと言ってくまのお母さんが働く医務室にやってきました。

病院に行ったら手術することになって、その後は経過もよく仕事も普通にしていました。

体調は良くなかったんだろうなと思います。

誰にも相談しなかったのかな。

こんなことがあると、くまのお母さんは結果的に何も出来なかったことを悲しく思います。

もちろん、くまのお母さんが死にたい気持ちを止める魔法を使えるのなら別ですが…

 

きりんの奥さんはどうしているんだろう。

きっと小さいお子さんもいるはず。

泣いても泣ききれないだろうな。

ただただ、きりんの奥さんの側に寄り添っていたい気持ちでいっぱいになりました。

 

くまのお母さんは、坊やがきりんの旦那さんと会って、この世を去ることにしたいきさつとか話が出来ればいいのになと思いました。

社会人になる前に亡くなった坊やに、きりんの旦那さんが、仕事のやりがいとかつらかった話なんかをしてくれたらいいなと思いました。

「俺、社会人にならなくてよかったかもしれないっすね〜。」

なんてきりんの旦那さんに坊やは言うかもしれません。

 

 

 

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